前回、使える筋肉・使えない筋肉の考え方についてお話しました。
筋肉に使えない筋肉はそもそも存在しないこと、筋トレの有用性はご理解いただけたかと思います。
「筋肉をつけるメリットは分かったけど、実際どう連動性をあげたらいいの?」
となりますよね。
ですので、今回はつけた筋肉をより効果的に競技へと活用するためにプライオメトリックトレーニングとチーティングテクニックについて解説していきます。
はじめに
サッカーや野球、テニスなどほぼ全ての運動競技には反動動作を利用したバネのような体の使い方をします。
そしてそのバネの作用は筋肉の付け根である腱の部分がその役割を果たします。
腱は主にコラーゲンというタンパク質でできたゴムのような性質を持ち、伸ばされると縮めようとする作用が働きます。この作用を利用することにより筋収縮の際に発揮される力が増大する仕組みのことをSSCと呼びます。
バネのような動きをいかに上手に使うことができるかがカギとなります。
そのバネを活かす為のトレーニングがプライオメトリックトレーニングとチーティングテクニックです。
反動を使ったトレーニングは筋肉、腱や関節に瞬間的に大きな負荷がかかる為、傷害の危険性が高いトレーニングです。
トレーニング前には入念にウォーミングアップを行いましょう。
また、トレーニング開始直後に、全力で行うのではなく半分ほどの力から初めて、徐々に身体を慣らしてからにしましょう。
プライメトリックトレーニング
プライメトリックトレーニングとはスクワットジャンプやステップといった反動動作を反復して行うトレーニングです。
SSC(バネの力)を利用して爆発的な力発揮を目標とします。
SSCを活用するプライオメトリックトレーニングは競技パフォーマンス向上に非常に有効だと考えます。
下半身のプライオメトリックはサッカー、バスケットボール、ラグビーなどほぼ全てのスポーツ、上半身のプライオメトリックもテニスや野球、ゴルフなどパワフルな上半身の動作を有するスポーツに役立つでしょう。
トレーニング例
下半身:スワットジャンプ、アンクルホップ
上半身:プッシュアップジャンプ、デプスプッシュアップ
この他にもトレーニングは存在しますので色々試してみて下さい。
全身の反動を
反動動作を利用すると書きましたが、全身の反動を使いましょう。
例えばスクワットジャンプは下半身のプライオメトリックトレーニングですが行う際には『腕をふる』『上半身をあおる』といった様に全身の反動動作を活用しましょう。
負荷設定
基本的には自体重を利用してトレーニングを行います。
最初から加重してのトレーニングはケガに繋がりやすいので避けて下さい。
動作スピード
動作スピードも非常に大事なポイントです。
切り返しの局面、すなわちジャンプでいうところのしゃがみ込みからジャンプする瞬間
の間が長すぎるとSSCに力を最大発揮することができません。
ここで注意点があります。
それは、切り返しのスピードを意識しすぎて、筋が伸びきらないうちに切り返してしまう事です。
遅すぎてもダメ、早すぎてもダメという事なのです。
スクワットジャンプであれば出来るだけ早くジャンプするのではなく、できるだけ高くジャンプする方に注力することで早すぎる切り返しを防ぐことができます。
回復(休息)
いかなるトレーニングにおいても回復時間は非常に重要なポイントです。
プライオメトリックトレーニングも例外ではありません。
レップ間(1回ごとの間)、セット間、頻度について解説していきます。
レップ間
ステップに比べるとスクワットジャンプは強度が高いのでレップ間の休息時間も長くなります。
このように、トレーニング強度によって変化します。
基本的にはスタートポジションをしっかりとリセットして行えるだけの時間を取りましょう。
逆にステップの様に連続して行えるトレーニングは短い時間で大丈夫です。
セット間
レップ間と同様に強度によって変化します。
息が上がっていない、筋肉に疲労がでていないと言ったところを指標にしてみてください。
ただ種目ごとにどれくらいの時間で回復するかも計っておきましょう。
頻度
トレーニング頻度は2~3日ほど空けましょう。
特に初心者の方は体力的に余裕がある場合でも最低2日は間を空けるようにしてください。
チーティングテクニック
チーティング
チーティングとは反動動作を使った筋力トレーニングで、ボディビルやフィジークの様なボディメイクトレーニングでは基本的には行ってはいけないとされているトレーニングです。
ただ、チーティングをうまく活用することでここでもSSCを活用したトレーニングを行うことができます。
チーティングテクニックのプライオメトリックと同様全身の反動を利用しましょう。
安全面に考慮して基本的にはウエイトマシンを活用しましょう。
ダンベル、バーベルトレーニングでも活用できますが、傷害や周りの安全面に配慮して取り入れて下さい。
SSCの活用
SSCを活用する事が目的ですので、筋肉は伸張した状態を意識しましょう。
筋伸張状態から勢いよく収縮させるイメージです。
全身の反動を
プライオメトリックと同様に全身の反動を利用しましょう。
特に体幹部分(胴体)から腕や脚といった順番に使うように意識しましょう。
負荷設定
基本的には重量を扱う事を目標とします。
初心者の方であれば慣れるまでは軽重量から始めて頂いて大丈夫ですが、徐々に使用重量を増やしていきましょう。
5~10回を全力で行いましょう。
低重量でスピードを意識したトレーニングもあります。
回復(休息)
レップ間
トレーニング強度によって変化します。
基本的にはスタートポジションをしっかりとリセットして行えるだけの時間を取りましょう。
低負荷トレーニングの場合はスピードを意識して連続で行いましょう。
セット間
プライオメトリックと同様に強度によって変化します。
筋肉に疲労がでていないと言ったところを指標にしてみてください。
ただ種目ごとにどれくらいの時間で回復するかも計っておきましょう。
頻度
トレーニング頻度は連続して行わない様に。
最初は週1~2回から取り入れていきましょう。
最後に
競技パフォーマンスを上げる事を目標としている方にとって筋トレの効果を最大限引き出せるように、ぜひプライオメトリックトレーニングやチーティングテクニックを取り入れて頂いて競技に活かしていただければ幸いです。