筋肥大が目的であれば、有酸素運動は必要なのか?

トレーニングをしっかりとやりこんでいる人にとって、長時間の有酸素運動は筋肉を委縮させたり筋力を落とすといったマイナスのイメージを持っている方がいると思います。 

実際、マラソン選手と100m走の選手を比べてみてもわかるように、筋肉を大きくさせたいという人にとっては有酸素運動のやりすぎは注意すべきなのです。 

では筋肥大が目的であれば、有酸素運動は必要ないのでしょうか。 

 有酸素運動は必要性

筋トレに代表されるような無酸素運動と、ランニングやウォーキングなどの有酸素運動。 

どちらの運動にもいいところがあり、うまく活用することで両方の効果を高めることができます。 

しかし、特性を理解せずに間違ったやり方をしてしまうと、せっかく頑張ったのに、両方の効果を下げてしまうことにつながってしまうかもしれません。 

その2つの特性をしっかりと理解し、最大限効果を発揮できる方法をお伝えしていきます。 

結論から先に言うと、筋肥大が目的であっても有酸素運動は取り入れるべきです。 

なぜなら筋トレをする際でも、有酸素運動に必要な心肺機能が高い方が有利だからです。 

基本的に筋トレは1セットの時間は30秒~長くても1分です。この短い時間では心肺機能は必要にはなりません。 

しかしこの1分程度のトレーニング終わると、体は必ず回復しようとし、心拍数が上がったり呼吸数が上がったりします。その状態こそが体が酸素を必要としている状態なのです。 

インターバル中にどれだけ体を休ませることができるかということが、次のセットでどれだけ質の高いトレーニングができるかということに繋がってきます。 

この回復する能力が高くなければ、トレーニングを通しての質が大きく落ちてしまうことになります。 

有酸素運動をダイエットのためのものだと考えている人は、筋トレの質を高めるためにも増量中でもある程度は有酸素運動を取り入れるべきだと思います。 

具体的には、少し息が上がるくらいの強度で15分程度、それを1~3回程度を目安に行えば十分です。 

しかし、間違った方法で有酸素運動を取り入れてしまうと、せっかくの筋トレの効果があまり得られない可能性があります。その方法とは、有酸素運動を行ってから筋トレを行うこと。 

ウォーミングアップのために10分程度する分には特に問題はありませんが、30分や1時間など長時間にわたって行う有酸素運動を筋トレ前にしてしまうのはNGです。 

有酸素運動を行うと15分あたり経過した段階から、脂肪燃焼が加速されていきます。

しかし、この有酸素運動をして起こる脂肪燃焼の状態は、成長ホルモンの分泌を抑えてしまい、筋肥大のためにはよくない状態でもあるのです 

この状態で筋トレを行うと、せっかく筋肥大を助けてくれる成長ホルモンの力を借りることができず、筋トレの効果が上がらなくなってしまうのです。   

筋トレ中には、成長ホルモンなどが分泌されます。それらには筋肥大を助けてくれるのはもちろん、脂肪の分解を促す作用があるのです。 

つまり、筋トレ後は有酸素運動と同じように脂肪燃焼が加速される状態になっていて、 同じ1時間の有酸素運動でも筋トレをした後に行った方が20%ほど脂質代謝が上がるのです。 

もう1つ、筋トレ後に有酸素運動をするべき理由として、筋肉そのものの回復を早めてくれる可能性があるからです。

強度の高いトレーニングを行うと血中の乳酸濃度も高くなります。

乳酸自体が筋肉を疲労させる物質ではありませんが、血中の乳酸濃度が高いということは、筋肉が疲れ切っているということになります。 

この乳酸は血液と共に、心臓などに取り込まれます。そして心臓ではそのままエネルギー源として使われるのです。 

決して強度が高い必要はありません。 

だらだら動く程度で大丈夫なので、心拍数を上げて血流をよくすると、乳酸をたくさん取り込んでエネルギーにしてくれるのです。 

勘のいい方なら分かったかもしれませんが、血中の乳酸濃度が1番高いタイミングは、毎セット終了直後です。

セット間のインターバル中にもだらだらと体を動かすことで、次のセットの質も下がりにくくなるはずです。 

筋トレの効果を最大限発揮するためにも、ぜひ有酸素運動を取り入れてみてはいかがでしょうか。